円形脱毛症とは
円形脱毛症は、頭髪や体毛が部分的に丸い脱毛斑(10円玉ぐらいの大きさなど)として突然抜ける、非瘢痕性(傷を残さない)脱毛症です。
年齢や性別を問わず、小児から高齢者まで幅広く発症します。
脱毛の範囲は軽度(単発型)から、頭部全体(全頭型)、眉毛・体毛まで広がる汎発型(全身型)までさまざまです。
原因
- 自己免疫反応:最も有力な説で、免疫システムが誤って毛包(毛根)を攻撃することで脱毛が起きます。
- 遺伝的素因:家族内発症がみられるケースもあり、遺伝が関わっている可能性があります。
- アトピー素因:アトピー性皮膚炎やアレルギー体質を持つ人で発症しやすいとの報告があります。
- ホルモン変化:例えば出産後のホルモンバランスの変化が関係するケースもあります。
- ストレス:直接の原因とは見なされないことが多いですが、自己免疫のバランスを乱す誘因になる可能性があります。
分類
円形脱毛症にはいくつかの型があり、脱毛の範囲や症状によって分類されます。
| 型 | 特徴 |
|---|---|
| 単発型 | 脱毛斑が1か所。軽症で自然に治ることも多い。 |
| 多発型 | 複数の脱毛斑ができる。 |
| 全頭型 | 頭部全体の毛が抜ける。 |
| 汎発型(全身型) | 頭髪だけでなく、眉毛・まつ毛・体毛など全身に脱毛が及ぶ。 |
| 蛇行型 | 側頭部や後頭部の生え際が帯状に脱毛する。 |
症状・診断
- 円形・楕円形の脱毛斑が突然現れます。
- 脱毛部には、「根元が細くなった毛」「途中で切れたような毛」「折れ毛」が見られることがあります。
- 黒点(毛穴に毛が詰まったような見た目)が観察されることもあります。
- 診断は視診・触診が基本で、必要に応じて ダーモスコピー(拡大鏡を使った毛根の観察)を行うことがあります。
治療
円形脱毛症の治療は、症状の重さや範囲に応じて選択されます。
外用療法
- ステロイド外用薬:頭皮に塗って炎症を抑え、発毛を促します。
- 塩化カルプロニウムなどを使うケースもあります。
局所注射
- ステロイドを脱毛部位に注射して効果を狙います。
内服療法
- ステロイド(短期間)や免疫調整薬を使うことがあります。
- 最近は JAK阻害薬(例:バリシチニブ) などの新しい治療薬も注目されており、日本でもガイドラインに記載があります。