アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が慢性的に再発を繰り返す皮膚疾患です。病因および臨床症状には個人差が存在しますが、適切なケアと治療を施すことにより、症状を緩和することが可能です。
原因
アトピー性皮膚炎は主に以下の3つの要因が重なって起こると考えられています。
- 皮膚のバリア機能の低下
皮膚の保護機能が弱まると、乾燥や汗、刺激に反応しやすくなります。特に冬の乾燥や夏の汗で症状が出やすくなります。 - アトピー素因(アレルギー体質)
アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの既往がある場合、皮膚にもアレルギー反応が現れやすくなります。 - 心理的要因
ストレスや疲労などが症状を悪化させることがあります。
症状
症状は年齢によって変化し、左右対称に現れることが多いです。
- 軽症の場合:顔、首、目の周り、手足の関節部にかゆみを伴う湿疹が出ます。
- 重症の場合:全身に赤みやブツブツが現れ、皮膚が厚くなり、色素沈着が起こることもあります。
掻く習慣がつくと皮膚のバリア機能がさらに弱まり、症状が悪化する原因になります。症状が6ヶ月以上続いたり繰り返す場合は、アトピー性皮膚炎の可能性が高くなります。
検査
- 問診・視診:症状の経過やかゆみの状態を確認します。
- 血液検査:病気の重症度や進行度を知るために行うことがあります。
- 白変現象:赤くなった皮膚を軽くこすると白くなることも、アトピー性皮膚炎の特徴です。
治療
1. 原因・悪化因子の除去
ダニやホコリなどのアレルゲンとの接触は、極力回避し、皮膚への刺激を最小限に抑える必要があります。
発汗、皮膚の乾燥、精神的ストレス、および体温の上昇なども、症状を増悪させる要因として認識されております。
2. スキンケア
皮膚のバリア機能を適切に維持するため、清潔保持および保湿の徹底に留意いたします。
洗浄に際しては、過度な摩擦を避け、穏やかに汚染物質を除去することが肝要であります。
3. 薬物療法
- 塗り薬(ステロイド)
症状の強さや部位に合わせて、5段階の強さの中から選びます。保湿剤と併用することで副作用を抑えつつ症状をコントロールできます。
副作用:長期使用で皮膚が薄くなる、毛が濃くなる、ニキビが出ることがあります。適切な使用でリスクは最小限にできます。 - 飲み薬(抗ヒスタミン薬)
かゆみが強い場合や病変が広い場合に併用します。眠気などの副作用があるため、生活に合わせて薬の種類を調整できます。
必要に応じて生活習慣や環境の見直しも大切です。早めのケアで、かゆみや炎症を抑えて快適な日常を取り戻しましょう。