じんましん(蕁麻疹)について
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚面が赤色を呈して膨隆し、激しいかゆみを伴う皮膚症状であります。その膨隆の形態は、蚊に刺されたような小丘疹状のものから、地図状に拡大する巨大なものまで多岐にわたります。全身のいずれの部位にも発現し得ますが、特に皮膚の柔軟性が高い大腿部や側腹部に出現しやすい傾向が確認されております。
症状は通常数時間〜24時間以内に治まりますが、長引いたり、繰り返すこともあります。
原因
蕁麻疹は、皮膚の深部に存在するアレルギー関連細胞がヒスタミンというかゆみ誘発物質を放出することにより発現いたします。誘発される要因は多岐にわたりますが、蕁麻疹全体の約70パーセントは原因の特定が困難であります。病因と臨床症状は必ずしも一対一で対応するわけではなく、複数の要因が複合的に作用して発症に至る事例もございます。
食べ物によるじんましん
- 小麦、蕎麦、乳製品、卵、落花生などの五大アレルギー成分
- エビ・カニなどの甲殻類、青魚、豚肉、食品添加物など
- 体調によって反応が変わることもあり、健康時には問題なくても体調が悪いと症状が出る場合があります
精神的な原因
- ストレスにより新陳代謝や免疫機能が低下し、じんましんが発生することがあります
その他の原因
- 寒暖差、日光、汗、ペット、薬などもじんましんの引き金になることがあります
症状の特徴
- 皮膚が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う
- 盛り上がりの形はミミズ腫れのようなものから地図状に広がるものまで多様
- 数時間〜24時間で治ることが多いが、数週間続く場合や繰り返す場合もある
- 繰り返す場合、夜間に出やすく、原因が特定できないことが多い
検査
- 原因が不明な場合は不要な検査は避けます
- 症状や経過から原因が特定できる場合のみ検査を実施
- 主な検査:皮膚テスト、血液検査
- より詳細な検査(遺伝子検査・皮膚生検など)は、強いアレルギー反応が出る可能性があるため連携病院で実施
治療
薬物療法
- 抗ヒスタミン薬による内服が基本
- 塗り薬は皮膚の奥まで届きにくいため、飲み薬が中心
- 症状が消えても再発予防のために1週間程度内服することが望ましい
- 抗ヒスタミン薬で改善しない場合はステロイド、さらに必要に応じて免疫抑制剤を使用することもあります
- 症状が重たい場合には院内での点滴治療を行う場合もございます。
原因除去
- 原因が判明すれば、それを避けることで発症を防ぎます
- 食品や薬が原因の場合は摂取・接触を避ける
- 日光・寒冷・温熱などの刺激は、少しずつ体を慣らす方法もあります
注意点
- 一部の薬では眠気が起こる場合があり、自動車や機械操作には注意が必要です
- 内服のタイミングや副作用の少ない薬への変更は相談可能です
じんましんの種類
- 急性じんましん:発症から1か月以内で、ウイルスや細菌が原因の場合
- 慢性じんましん:1か月以上続く繰り返す症状
- 物理性じんましん:摩擦や圧迫など物理的刺激による症状
- コリン性じんましん:汗をかくことで発症、小さな膨疹が特徴
- アレルギー性じんましん:特定物質に反応
- イントレランス型:非ステロイド性抗炎症薬やサリチル酸による、IgE非依存型
- 血管性浮腫:唇やまぶたが腫れるが痒みはない
予防のポイント
ストレス・疲労の軽減
- ストレスや疲労を減らすことで免疫力低下を防ぐ
食生活の改善
- アレルギー食材や刺激物(辛いもの・アルコールなど)を控える
ライフスタイルの改善
- 規則正しい生活と栄養バランスの良い食事で免疫力を高める
原因の特定
- 発症前の行動を記録し、直接的な原因を把握することで予防可能