乾癬とは
乾癬(かんせん)は、慢性的な炎症を伴う難治性の皮膚疾患であります。皮膚が赤色に膨隆する「紅斑(こうはん)」、および銀白色を呈する鱗(うろこ)状の痂皮(かさぶた)(鱗屑:りんせつ)が出現し、これらが剥離(はくり)するのが本疾患の臨床的特徴とされています。
名前は「かんせん」と読みますが、人にうつる感染症ではなく、他の人から感染することはありません。
原因・メカニズム
乾癬の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要素が関与していると考えられています。
- 遺伝的な素因(家族歴など)
- 免疫系の異常(リンパ球やサイトカインなどが過剰に働く)
- 環境的・外的要因:感染症、ストレス、薬剤など
- 生活習慣との関連:肥満、脂質異常症、高血糖なども悪化因子とされることがある
メカニズムとしては、乾癬患者さんの皮膚では、表皮の細胞(角化細胞)のターンオーバー(新陳代謝)が非常に速くなり、細胞が過剰に作られるとともに、白血球などの炎症を促す細胞が集まってくることで、赤く盛り上がった発疹と鱗屑ができると考えられています。
症状・特徴
乾癬の典型的な皮膚症状には以下のようなものがあります。
- 紅斑:赤みを帯び、盛り上がった斑。
- 浸潤・肥厚:皮膚が厚く盛り上がってくる。
- 鱗屑(りんせつ):銀白色のうろこ状のかさぶたができる。
- 落屑(らくせつ):その鱗屑がはがれ落ちる(フケのようにポロポロ)。
- かゆみ:個人差がありますが、乾癬患者の約半数で自覚があります。
- 爪の症状:爪が濁ったり、もろくなることがあります。
- 関節症状(関節炎型の場合):関節の痛み・こわばり。
治療・対処法
乾癬は現在、 完治 は難しいとされていますが、症状をコントロールしながら生活の質(QOL)を保つ治療が可能です。
主な治療法
- 外用治療(塗り薬):ステロイド外用薬、ビタミンD3類似物質などを用いて皮膚症状を抑える。
- 内服治療:重症度やタイプに応じて、内服薬を使うことがあります。
- 紫外線療法:紫外線(UV)を使って症状を抑える方法。
- 生物学的製剤(注射薬):免疫の異常に働きかける新しい薬。かなり効果が高く、長期の管理に適しています。
- 生活習慣の改善:体重管理、たばこをやめる、ストレス軽減などが助けになることがあります。
また、通院しながら、症状が落ち着いた状態(寛解)を維持することを目指すのが基本方針です。
注意点
- 乾癬は慢性疾患ですので、医師と協力して 継続した管理 が重要です。
- 自己判断で塗り薬を止めたり、過度な民間療法に頼ったりするのはリスクがあります。
- ストレスや感染(風邪など)が悪化のきっかけになることもあるので、予防やケアが大切です。