流行の時期
インフルエンザは毎年世界中で流行が見られ、日本では11月頃から感染者が増え始め、1〜2月にピークを迎えます。春先の4月頃には徐々に落ち着いていきます。
自然に軽快する事例もございますが、重篤な合併症を誘発する可能性も存在するため、普通感冒とは区別した上で、適切な診察と治療を施すことが肝要であります。特に、ご高齢の患者様や免疫能が低下している方は、肺炎などの合併症により重症化しやすい傾向にあり、かつ周囲への感染力も高いため、早期の予防、診断、および治療介入が極めて重要とされます。
原因
インフルエンザは、インフルエンザウイルスがのどや鼻などの気道粘膜に感染することで発症します。咳やくしゃみ、鼻水などを介して人から人へうつります。
インフルエンザウイルスには A・B・C の3種類があり、冬に流行する「季節性インフルエンザ」の原因となるのは主に A型 と B型 です。
A型
重症化しやすく、大規模な流行を引き起こす特徴があります。B型に比べてワクチンの効果がやや低いとされています。
B型
A型より症状は軽いとされますが、それでも一般的な風邪よりは強い症状が出ることが多く、ワクチンの有効性は比較的高いとされています。
C型
風邪のような軽い症状で、一度感染すると免疫がつき、再びかかることはほとんどありません。
症状
感染後、1〜5日の潜伏期間を経て、突然の高熱(38℃以上)や関節痛、寒気などの全身症状が現れます。その後、のどの痛みや咳、鼻水などの呼吸器症状が続きます。
主な症状
上気道症状:
- 鼻づまり
- 鼻水
- のどの痛み
下気道症状:
- 咳
- 痰
全身症状:
- 高熱
- 寒気
- 関節痛
- 筋肉痛
- 頭痛
- 強い倦怠感
- 食欲低下
風邪との違い
風邪と違いインフルエンザには専用の治療薬があるため、検査を行う必要がございます。
インフルエンザは急激に症状が現れ、全身のつらさが強いことが特徴です。鼻水や咳は発熱より少し遅れて出ることが多い傾向があります。
一方、風邪はゆっくり症状が始まり、発熱もそれほど高くないことが一般的です。咳や鼻水は早い段階から現れ、全身症状は比較的軽度です。
| 症状 | インフルエンザ | 風邪 |
|---|---|---|
| 熱 | 高い(38℃以上) | 低い(38℃以上) |
| 発熱の始まり方 | 急に発熱 | 緩やかに発熱 |
| 鼻水 | 発熱に遅れて | 発熱と同時に |
| 咳 | 発熱に遅れて | 発熱と同時に |
| 喉の痛み | 比較的軽度 | 発熱と同時に |
| 関節痛 | 強い | 比較的軽度 |
| 寒気 | 強い | 比較的軽度 |
| 頭痛 | 強い | 比較的軽度 |
| 抗インフルエンザ薬 | 効果的 | 無効 |
検査
当クリニックにおいては、「迅速抗原検査」によりインフルエンザの診断を実施いたします。細径の綿棒を鼻腔の深部へ挿入して粘膜を採取し、約10分程度でA型およびB型の判定が可能です。
ただし、症状発現の直後においてはウイルス量が微量であるため、感染が成立していても陰性の結果を示す事例がございます。
「発症から一定時間経過しないと正確な結果が得られない」と指摘されることがありますが、当クリニックでは複数の製造メーカーより、感度・特異度の高い検査キットを厳選して採用しております。それでもなお、発症早期における正確な判定は困難な場合があるため、懸念事項がある場合は医師にご相談ください。
治療
治療には抗インフルエンザ薬(飲み薬・吸入薬など)を使用します。当クリニックでは複数の薬剤をご用意しており、ご希望があれば医師へお伝えください。
必要に応じて、解熱薬・咳止め・痰を出しやすくする薬・抗菌薬なども処方します。
解熱剤については、ロキソプロフェン(ロキソニン)などの一部の薬はインフルエンザ脳症との関連が指摘されているため、一般的には アセトアミノフェン を使用します。市販薬での自己判断は避け、医師からインフルエンザに適した薬を処方してもらうことをおすすめします。
※薬の料金は標準的な治療の場合の目安です。
※A型・B型どちらのインフルエンザにも効果があります。
※用法・用量は医師の判断で変更される場合があります。