低用量ピルの主な効果
1. 高い避妊効果
低用量ピルを毎日規則的に内服した場合、避妊の成功率は約99%と、極めて高い有効性が認められます。
仮に内服を忘却した場合でも、速やかに服用することで、避妊効果を維持することが可能です。
当該の有効性は、低用量ピルが女性ホルモンの分泌を制御することに起因します。
加えて、子宮頸管粘液の性状変化により精子の侵入が阻止され、排卵も抑制されるため、受精の発生が困難になります。
仮に受精が成立した場合においても、子宮内膜の増殖が抑制されることで、着床しにくい環境が形成されます。
2. PMS(月経前症候群)の緩和
月経前症候群(PMS)は、月経開始前の3日から10日程度の期間に発現する、身体的および精神的な不快症状を指します。
症状は多岐にわたり、下腹部の疼痛、腰痛、悪心などが生じます。
低用量ピルを内服することでホルモン変動が安定し、PMSの症状を緩和することが期待できます。
特に「トリキュラー」や「ヤーズ」はホルモン量が少なく、PMS改善の効果が高いとされています。
3. 子宮内膜症の改善
子宮内膜症は、本来は排出される子宮内膜が子宮外で増殖し、炎症や痛みを引き起こす病気です。
低用量ピルを服用すると子宮内膜を薄い状態に保つことができ、症状の緩和や改善が期待できます。
4. ニキビ・肌荒れの改善
月経前に尋常性ざ瘡(ニキビ)や肌荒れが発現する要因は、ホルモンバランスの不均衡にあります。
低用量ピルによるホルモンバランスの是正は、これらの肌荒れやニキビの予防および改善に寄与します。
特に「マーベロン」は、男性ホルモンの活性化を抑制する作用を有しており、皮膚トラブルの改善に極めて有効です。
5. 卵巣がん・子宮がんのリスク軽減
低用量ピルの服用は、卵巣がんや子宮がんの発症リスクを減らす可能性があることが研究で示されています。
排卵を抑えることで卵巣や子宮へのストレスを軽減し、がん予防につながると考えられています。
低用量ピルの副作用
主要な副作用として、悪心(おしん)、頭痛、腹痛、めまいなどが列挙されます。
内服を開始された直後の期間は、ホルモン環境の変動に伴い、一時的に不正出血が発現することもあります。
これらの症状は、概ね2か月程度で身体が順応し、自然に軽減していく傾向にあります。
稀に血栓症を発症する事例も存在します。
健康な方におけるリスクは低いものの、肥満や喫煙歴のある患者様は、事前に医師へ相談の上、服用を開始してください。