月経(生理)移動について
旅行、重要な行事、または試験などの日程と、月経期間が重複することを回避する目的で、月経開始時期の調整(前倒しまたは延長)をご検討された経験はございませんか。
身体は固有の周期で月経を反復しますが、経口避妊薬を用いることにより、この月経のタイミングを意図的に制御することが可能となります。
経口避妊薬には、月経周期のメカニズムに不可欠な女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが含有されております。この薬剤の服用時期を制御することにより、生体がホルモン分泌の状況を誤認し、結果として月経を前倒しあるいは後ろ倒しに誘導することが可能となります。
月経を移動させる方法
使用するピルの種類
- 生理を遅らせる場合:中用量ピル
- 生理を早める場合:中用量ピル
服用開始のタイミングは以下の通りです:
- 生理を遅らせたい場合:生理予定日の 5日前ほど から
- 生理を早めたい場合:生理予定日の 10日前ほど から
余裕をもってご相談ください。
生理を遅らせる場合
次回の生理予定日が分かれば、予定より後に遅らせることができます。
- 移動用の中用量ピルを 予定日の5日前から服用 すると、生理は服用中止まで来ません
- ピルをやめて 2〜3日後 に生理が開始します
- 遅らせられる期間は 最大7〜10日程度 です
例:
- 次回の生理予定日:1月15日
- 重要な予定があり後ろに遅らせたい場合:1月10日からピルを服用
- 1月18日に服用をやめると、1月20日頃に生理開始
- 遅らせられる限界は1月22日〜25日程度

生理周期自体は変わらず、ずらした生理日が新たな基準となります。
生理を早める場合
- ずらしたい生理の 前回の生理中からピルを服用 する必要があります
- 予定が分かっている場合のみ適用可能です
- 中用量ピルで早める場合: 10日以上連日服用 し、服用をやめると 2〜3日後 に生理開始
例:
- 次回の生理予定日:1月20日
- 重要な予定があり前倒ししたい場合:1月1日〜1月10日まで中用量ピルを服用
- 服用をやめると、1月12日頃に生理開始

どちらを選ぶべき?
- 生理を早める場合、服用開始は1ヶ月前から必要ですが、予定中にピルを飲む必要がなく計画的に調整できるためおすすめです。
副作用について
ピルによる月経移動は、人工的に生理前の妊娠準備や排卵を体に起こすことになります。
そのため、人によっては以下のような副作用が現れることがあります。ただし、基本的には健康に悪影響はありません。
- 胃のムカつき、吐き気・嘔吐
- 倦怠感
- 頭痛
- 胸の張り
- 不正出血
当クリニックでは副作用に対応するお薬も処方できますので、気になる場合はご相談ください。